美容外科業界には、「JSAS」と「JSAPS」という、2つの美容外科学会があります。名前が似ていながら異なる2つの学会は、どのような団体なのでしょうか。また、それぞれにはどのような違いがあるのでしょうか。わかりやすくご紹介します。
「JSAS」「JSAPS」とは
日本における美容外科には、「日本美容外科学会」が2つ存在します。その1つが「JSAS」、もう一方が「JSAPS」という名前です。
2つの違いを比較する前に、まずはそれぞれの特徴を確認してみましょう。
JSAS
JSASは「Japan Society of Aesthetic Surgery」の略で、『美容外科に関する研究並びに科学的知識および技術の普及発達と、美容外科の学術上の地位の確立を図り、併せて会員相互の向上・発展を求めることを目的に結成された学会』です。昭和41年に設立され、平成25年時点で1012名の会員が所属しています。日本の医師免許を持ち、会員2名の推薦を受けた医師のみが入会することができます。
JSAPS
JSAPSは「Japan Society of Aesthetic Plastic Surgery」の略で、『形成外科学を基盤とし、美容外科に関心ある方のために、その知識・技術の交換、進歩をはかり、親睦と医道の向上を目指し、かつ国内外の関連学会および団体との連携を目的』として結成された、日本で唯一国際美容外科学会(ISAPS)に認められた学会です。JSASよりも10年ほど遅い昭和52年に設立され、約1200名の会員が所属しています。日本の医師免許を持つ日本形成外科学会正会員資格者で、さらに学会評議員の推薦が得られた人のみが入会できるという、JSASよりも厳しい入会基準が設けられています。
JSASとJSAPSの違いは?
「美容外科」という名のつく医師ならほとんどがどちらかに所属している「JSAS」と「JSAPS」。両者にはどのような違いがあるのでしょうか。また、自分がいざ転職する時、または施術を受けてみたいと思う時、両者はどのような役割を果たしてくれるのでしょうか。詳しく確認してみましょう。
開業医が中心となって広がったJSAS
美容外科は、古くは医療の中では異端的なものととらえられていました。そのため、「美容外科」という看板を簡単に掲げることができ、悪質な治療を行う医師も少なからず存在していました。JSASは、そういった美容外科業界を変えるべく、開業医たちが中心となって設立された学会です。そのため、美容外科医に多い形成外科出身者のみならず、皮膚科出身の医師なども対象に幅広く門戸を開いています。発表される学術も、JSAPSより実践的な内容のものが多いのが特徴です。
形成外科から派生したJSAPS
先述の通り、日本形成外科学会正会員資格者でないと入会することができないJSAPS。日本形成外科学会は、指定の研修受講や、所定の専門医試験合格など、加盟するための厳しい条件があります。つまり、形成外科医として、しっかりとしたトレーニングを積んだ医師が多く所属している、というわけです。そのため、JSASと比べると学会色がより強く、発表される学術も実践的なものより専門的なものが多いという一面もあります。
両学会は、「どちらが優れている」というものではない
2つの日本美容外科学会は、それぞれ独自の主義主張があり、どちらにも異なった良さもマイナス点もあります。しかし、どちらかが優れている、というわけではなく、どちらも優れている、というのが実情です。また両団体所属医師間にも交流があり、2つの学会両方に所属している医師も多く存在しているため、互いの情報交換も盛んに行われています。
どちらかに所属している医師は、一定の技術力や知識を持つ美容外科のドクターであるということが証明されているということです。転職や診療を検討している時には、いずれかに所属していることを目安にするのもおすすめです。
▽参照サイト
(参考:日本美容外科学会(JSAS))
(参考:一般社団法人日本美容外科学会JSAPS)