「整形外科」「形成外科」「美容外科」。どれも似たような印象を感じますが、それぞれどのような違いがあるのか、ご存じですか。今回は、美容・形成・整形の3つの外科の違いについて、ご紹介します。
整形外科、形成外科、美容外科それぞれの特徴
3つの「外科」の違いを確認する前に、まずはそれぞれの外科がどのような診療を行うものなのかを確認してみましょう。
【整形外科】
骨や筋肉などの不調時に受診するイメージがある整形外科。
日本整形外科学会によると、整形外科は“身体の芯になる骨・関節などの骨格系とそれを取り囲む筋肉やそれらを支配する神経系からなる「運動器」の機能的改善を重要視して治療する外科で、背骨と骨盤というからだの土台骨と、四肢を主な治療対象”とする医療です。
つまり、骨折やねんざ、リウマチや関節痛など、自分の意思で動かす体のパーツに起きたトラブルの治療を主とするのが整形外科です。
【形成外科】
一般的にはあまりなじみがないかもしれない形成外科。
同じく日本整形外科学会によると、“生まれながらの異常や、病気や怪我などによってできた身体表面が見目のよくない状態になったのを改善する(治療する)外科で、頭や顔面を含めたからだ全体を治療対象”とする医療です。
例えば、生まれつき変形していた部位を正常に作り変えたり、癌で切除した乳房を再建したりと、体の見た目を正常に「形成」するのが形成外科です。
【美容外科】
美容外科は整形外科ではなく形成外科の一分野で、容姿を整えることを目的とした医療です。
一重のまぶたを二重にしたり低い鼻を高くしたりという生まれ持った部位を理想の形にしたり、年齢によるたるみやシワを改善したりと、希望に沿った「形成」を行うのが美容外科です。
整形、形成、美容。3つの違いをそれぞれ比較
整形外科、形成外科、美容外科。3つの外科の特徴がわかったところで、整形外科と形成外科、形成外科と美容外科、そして整形外科と美容外科、それぞれの違いを詳しく比較してみましょう。
整形外科と形成外科の違い
前述の通り、事故や年齢などの何らかの原因によって不具合が生じた骨や筋肉などの運動機能を改善するのが整形外科、生まれつきや病気などの理由によってできた体全体の良くない見た目を改善するのが形成外科です。
ただし、医療がここまで細分化される前には、形成外科の治療も整形外科で行われていました。最近でも、生まれつき指がくっついている合指症や通常よりも指が多い多指症をはじめとした手指の外傷や切断は、整形外科でも形成外科でも治療が行われています。
形成外科と美容外科の違い
美容外科は形成外科の一分野で、どちらも体の見た目を美しく整える医療です。
両者の大きな違いは、保険が適応されるか否か。形成外科は、生まれつきや事故・病気などのトラブルにより、通常あるべき形から変形してしまったものをあるべき形に戻すための医療であるため、保険が適応されます。
一方の美容外科は、異常のない自身のパーツを理想通りに作り変えるため、保険適応外となります。
整形外科と美容外科の違い
美容外科は形成外科の一分野で、いわゆる「美容整形」の手術を行います。
容姿を整えることが目的で、代表的な手術には、二重まぶたなど眼瞼の手術、鼻を高くする隆鼻術、顔面の首にたるみをとるフェイスリフト、腹部や臀部の余分な脂肪を取る脂肪吸引、乳房の形を整える手術、レーザーであざを消す手術等があります。
その他、最近プチ整形といわれるコラーゲン、ヒアルロン酸などの注入も美容外科で行われています。