看護方式は、病院や施設によって様々な方法があります。代表的なものには、「チームナーシング」「プライマリーナーシング」「モジュールナーシング」の3つがあります。
それぞれどのような看護方式なのでしょうか。
また、それらの看護方式において、看護師はどのような役割になるのでしょうか。詳しくご紹介します。
チームナーシング
チームナーシングとは
チームナーシングは、複数人の看護師によるチームを決め、リーダーから看護補助までチーム全体で看護を行うという看護方式です。
病院側主体だった看護方式から患者主体の看護を行うために、コロンビア大学のティーチャーズカレッジで開発されました。1人ではなくチーム全体で患者さんをみることができるので、安定した看護を行うことができます。また、新人や中途など入職したばかりで一人で業務をこなす事が難しい人でも、先輩やリーダーがサポートすることで仕事を効率的に覚えることができます。
その一方で、チーム内の雰囲気やメンバーの相性で仕事の質が上下したり、リーダーの采配の悪さで仕事が停滞したりというデメリットもあります。
チームナーシングにおける看護師の役割
チームナーシングは、立場によって、看護師の役割が異なります。
通常は一人のリーダーを筆頭に、数名のスタッフが配属されます。チームの中心となるリーダーは、チームに割り当てられた患者さんをメンバーに割り振ったり、患者さんの入院から退院までの看護計画を立てたり、時にはメンバーのフォローを行ったりします。加えて、医師や事務など、他の立場の人たちともコミュニケーションを取ったりもします。
チームのメンバーは、リーダーの下、割り当てられた患者さんの看護を行います。また、チームには新人が配属されることがあります。新人はチームメンバーのサポートを受けながら、チーム内の業務を覚えます。
プライマリーナーシング
プライマリーナーシングとは
プライマリーナーシングは、一人の患者さんを一人の看護師が担当する看護方式で、同じくアメリカで開発されました。担当となった看護師はプライマリーナースと呼ばれ、入院から退院まで責任を持ちます。
それぞれの患者さんに合わせた看護を行うことができ、結果として質の高い看護が提供できるというわけです。
日本の病院、特に入院施設のある病院では、このプライマリーナーシング方式が最も多く採用されています。
患者さんと看護師の関係が長くなるために信頼関係が築きやすく、一人の患者さんが回復していく様子を確認できるので、看護師のやりがいにもつながります。一方で担当看護師のスキルによって看護の質に差が生じたり、両者間の相性の良し悪しが患者さんの入院生活を大きく左右するという可能性も生じてしまいます。
プライマリーナーシングにおける看護師の役割
プライマリーナーシングでの看護師の役割は、看護計画の立案と評価・修正、そして日常の看護です。
まず担当になった患者さんの状態に合わせて看護の計画を立案し、患者さん本人や家族の同意を得ます。
その際、自身が患者さんのプライマリーナースとなったことを紹介し、以後責任を持って看護を行う事を約束します。患者さんの容態は日々変化していきますので、プライマリーナースは定期的にその様子に合わせて、看護計画を評価や修正を行い、記録します。プライマリーナース不在の際は他の看護師にサポートしてもらいますが、あくまでも看護の責任はプライマリーナース本人にあります。
モジュールナーシング
モジュールナーシングとは
モジュールナーシングは、日本で考案された看護方式です。
日本の病院ではアメリカの病院程、多くの看護師を採用することかできません。そこで、アメリカで考案された2つの看護方式の良い部分を取り入れた看護方式として、モジュールナーシングが開発されました。まず、一つの病棟の看護師を2つのチームに分け、そのチームをさらに数名の単位=モジュールに分けます。そのモジュールごとに、一人の患者さんを担当して、入院から退院までの看護を行うというものです。
モジュールナーシングにおける看護師の役割
モジュールナーシングでは、プライマリーナーシングにおけるプライマリーナースの役割をモジュールメンバー全員で行います。
メンバー全員で看護計画の立案を行い、日々の看護の様子を確認しながら、計画の評価や修正を適宜行っていきます。チームメンバーには新人が加わることもあり、先輩のサポートを受ける事によって業務に慣れることができるようになっています。モジュールナーシングはまさに、チームナーシングとプライマリーナーシングのいいとこ取りの看護が行えるのです。
▽参照サイト
(参考:慶応義塾大学病院|慶應チームナーシング)
(参考:東京大学医科学研究所附属病院|キャリアアップ)
(参考:東海大学医学部付属病院|モジュラーナーシング)