美容外科は、接客業でもあります。来院するのは「患者さん」ではなく「お客様」となり、当然クレームや苦情を受けることもあります。そんな時はどのような対応をすればよいのでしょうか。今回は、クレームや苦情の対処法と、美容外科でよくあるクレームについてご紹介します。
クレームの発生要因
クレームはできれば受けたくないものです。しかし、どんなに気を付けていても、必ず発生してしまうものでもあります。美容外科では、どんな時にクレームが発生するのでしょうか。また、それによりどんな悪影響があるのでしょうか。
美容外科に多いクレーム
美容外科には、以下のようなクレームが多く寄せられます。
◎施術への不満
・想像していたよりも効果が出なかった
・仕上がりに満足しなかった
・施術後の痛みや腫れがひどい、副作用が出た
◎スタッフの態度や対応への不満
・スタッフの態度が悪い、話を聞いてくれない
・電話がつながらない、来院してもすぐに対応してくれない
・治療に対する説明がなかった、施術が雑だった
◎設備など環境面への不満
・待合室や施術用の部屋の掃除が行き届いていない
・道具や備品がちらかっていた
・トイレが汚れていた
クレームから発生する悪影響
クレームが発生することによって、美容外科には、以下のような影響があります。
・口コミで悪い噂が広がる
・ネット上やSNSに悪評を投稿される
・場合によっては訴訟や賠償問題となる
また、これらによりさらに、
・美容外科の信用が失墜する
・来客が減少する
という悪影響が出てしまう可能性があります。
クレーム対応の3ステップ
では、実際にクレームや苦情を受けてしまった時には、どうしたらよいのでしょうか。対応をわかりやすく、3ステップで紹介します。
まずは相手の話をよく聞き、事実確認をする
最初に行うのは、相手が何に対して不満を持っているのか、どういったことに対して怒りを感じているのかを確認することです。その際に注意するのは、相手の話を中断させないで、「こういうことですね」と、反復・整理しながら確認を行いましょう。状況をしっかりと把握できたら、相手が話した内容と実際に起こった内容に違いがないのか、事実確認を行います。
迅速に解決策を模索する
話を聞いたら、クレームを受けた案件についての解決策を提示します。その場しのぎのいい加減な回答をせず、すぐに答えられない場合は、「この場ではお答えできませんので、少々お待ちいただけますか」と一旦話を預かります。時間がかかる場合には、途中で中間報告を入れましょう。また、謝罪を行う時には、何に対して謝っているのかを明確にします。「すみません」の連呼は相手の神経を逆なでします。関係者一丸となって、相手が最も満足できる解決策を模索しましょう。
ムリなことはムリと言う、理不尽な要求は明確に拒否する
クレームの中には、絶対に不可能だったり、自分たちに非がない理不尽なことだったり、というケースもあります。そんな時は、はっきりと拒否をすることも大切です。ムリなことには最初からムリと告げる、理不尽な要求に対しては、はっきりとNOを告げることも必要です。ただし、その際も相手の気持ちに寄り添いながら、「誠に申し訳ありませんが」「心苦しいのですが」と、上手にクッション言葉を使いながら話しましょう。
ケース別 美容外科のクレーム対応
それでは、美容外科でよくあるクレームや苦情に対して、実際の対応方法を簡単に確認してみましょう。
施術に対する不満
まずは、相手が不満に思っていることについて確認を行います。その後、事前に説明したことを再確認してもらったり、原因を探って説明します。場合によっては、追加の施術の提案も行いましょう。防止策としては、事前にしっかりと説明を行うこと、どんなお客様にも丁寧に施術すること。また、日常的にお客様とコミュニケーションをとっておけば、小さな不満の声を事前にキャッチすることができます。
術後の不調は、医療ミスや体質、お客様の注意不足など、原因は様々です。しかし、いずれのケースでも原因の究明より先に担当医師や院長に相談して、一刻も早く治療や対策の指示を受けましょう。
対応・設備への不満
このケースでは、まずは不愉快な思いをさせたことを謝罪します。そして、再発防止や改善を徹底する旨を伝えましょう。これらは、自分たちが小さな気遣いを行えば、防ぐことができます。日ごろから身なりや態度・言葉遣いに注意する、お客様とよくコミュニケーションをとる、トイレや洗面は自分が使った時に軽く掃除する、受付が忙しい時間は手が空いている人がヘルプするなど、ささやかな気遣いで不満を小さくするとこができるのです。
クレームの重要性
クレームと言うと、悪い印象を受けてしまいがち。しかし、一部の悪質なものをのぞき、実は改善や見直しにつながる良いきっかけとなるものです。クレームを嫌がらず、素直に受け止め、より良い美容外科になるように真摯に対応するのが大切です。