医療の現場で広がっている【インフォームドコンセント】医師が行うことが多いですが、最近は看護師が同席するケースも増えています。インフォームドコンセントに看護師が同席すると、どんなメリットがあるのでしょうか。詳しくご紹介します。
インフォームドコンセントとは
医療現場において、医師が患者へ治療方針などを説明するインフォームドコンセント。そもそもどんなものなのでしょうか。また、看護師同席が増えたのはなぜなのでしょうか。
■そもそもインフォームドコンセントって?
インフォームドコンセント(informed consent)、日本語にすると「説明と同意」。患者やその家族が、患者の病状、今後行われる医療行為や治療方針などを十分に理解した上で、医療行為に対して合意をすることを示します。医療法第1条の4第2項には、「医師、歯科医師、薬剤師、看護師その他の医療の担い手は、医療を提供するに当たり、適切な説明を行い、医療を受ける者の理解を得るよう努めなければならない」という、インフォームドコンセントの大原則が示されています。医療関係者から患者側への一方通行のコミュニケーションというイメージが強いですが、患者や家族の意向や置かれている状況、説明の受け止め方なども理解しあい、情報を共有する重要なプロセスでもあります。
■看護師同席のインフォームドコンセントが増加した理由
医療の現場では専門用語が多く、患者やその家族は十分に理解せずに医療行為を受けていることもありました。しかし、それによって医療事故が多発したり、患者の理解不十分によるトラブルが起きたりと、問題も発生していました。そこで各病院は、これまで医師と患者やその家族のみで行っていたインフォームドコンセントに、医師よりも患者に近い立場の看護師を同席させるようになりました。看護師は患者の理解を手助けしたり、医師のフォローをしたり、お互いの「言った・言わない」を防いだりする効果があり、病院側にも患者側にもメリットがあるのです。
看護師同席のインフォームドコンセント
看護師がインフォームドコンセントに同席することで、具体的にはどのようなメリットがあるのでしょうか。また、看護師は、同席する際に何か気をつける事はあるのでしょうか。
■看護師が同席するメリット
インフォームドコンセントに看護師が同席する最大のメリットは、医師と患者間の橋渡しができることです。専門用語が多い説明の中で患者側に「こういう意味ですよ」という、よりわかりやすい説明ができたり、「この治療のデメリットは何ですか」と患者の代わりに尋ねたりと、患者の立場になりながらも医師への助け舟を出すことができます。また、日頃からカルテに患者の様子などを付け慣れている看護師だからこそ、インフォームドコンセントにおいても細かい記録ができるため、その後の医療や治療方針に役立つ情報を残すことができるのです。
2014年に発覚した群馬大学病院における腹腔鏡手術死亡事故の際、事故調査委員会は同病院に対して「インフォームドコンセントが不十分である」という指摘を行いました。対策として同病院では、インフォームドコンセントの際に積極的に看護師を同席させるようにしました。すると、患者側の様子や質問もカルテに残るようになり、説明に対する患者の理解度や満足度も向上し、病院自体の評価も上昇しました。
■同席する際の注意点
インフォームドコンセントに同席する際、看護師が注目すべきなのは、次の2つです。
◎患者が医師の説明を十分に理解できているか
◎説明を理解した上で、医療の選択ができているか
それらを確認するためにも、患者の様子に注意して、説明を聞いている患者の表情や発言を読み取りましょう。不安や心配を汲みとって、「不安なことはありませんか」「何か心配なことはないですか」などの声掛けを行っていきましょう。
(参考:インフォームドコンセントと倫理)